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第9話
「好きだよ。」
そう言って幸せそうに笑う顔を見たくても暗くてよく見えないと思っていた時に桜夜の耳に入って来た向日葵の声で目覚めた。
「ママ!大好き。」
「ありがとう。」
桜夜はゆっくりと起き上がり声がする方へと体を向け目に映る光景に驚き身体が震えた。
悠陽がベッドに座り向日葵を横に座らせて抱きしめていたのだ。
ー夢?まだ夢を見ているのか?ー
桜夜は2人の匂いがする部屋で寝た事が原因で有りもしない夢を見ているのだと自分に言い聞かせた。
それは、夢だと思えば桜夜が落胆しなくて済むからだ。
「パパ!ママだよ。」
桜夜が起きた事に気づいた向日葵が楽しそうにそう笑って言った。
「パパ?」
「うん。僕のパパ。パパもママが大好きなんだよ。」
「ママの事が好きなんだね。」
笑顔を見せていた悠陽がそう言って曇った表情を見せ桜夜は胸が締め付けられた。
ー 悠陽・・・・。ー
ゆっくりと悠陽と向日葵のベッドへと桜夜は、歩み寄ると震える身体で2人を包み込む様に抱き締めた。
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