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第10話
「パパぁ〜。くるしいぃ〜。」
桜夜と悠陽の間で目に涙を溜めて苦しそうに向日葵が言った。
「向日葵、ごめん。大丈夫か?」
桜夜は慌て腕の力を緩め向日葵の顔を覗き込むとコクリと頷き直ぐにパッと笑顔になった。
向日葵は母親が起きたのが嬉しくて悠陽の腕に抱きつき顔をスリスリ擦り幸せそうに笑う。
悠陽はそんな向日葵の頭を優しく撫でてニッコリと笑った。
「悠陽、起きて大丈夫か?身体は辛くないか?」
「さ・・桜夜?」
「俺だ悠陽。分かるか?」
「うん。けれど少し・・・違う・・かなり大人の男性に見える。向日葵君は息子さんなの?」
悠陽は笑ってはいたが目だけは悲しみが滲んでいた。
「悠陽、すまない。」
「どうして謝るの?」
「俺の判断で眠ったままの悠陽に向日葵を産ませたんだ。」
悠陽は桜夜の言ったことが理解できずに固まっていると向日葵が悠陽の腕にギュッと抱きついた。
「僕の子供?」
「向日葵は俺たち2人の子供だ。」
「僕の・・・子供。」
悠陽は向日葵の顔を見て今にも泣き出しそうな顔になった。
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