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第11話
「悠陽も混乱してると思う。悠陽が眠り続けて4年が経つんだ。ごめん、俺も上手く説明が出来なくて・・・ごめん。」
「桜を見てた。ずっと、桜夜の隣で桜を見てたんだ。小さな子供が僕に抱きついて来てニッコリ笑った。暖かくて安心出来る様な感覚で気付いたら僕に抱きついて向日葵くんが寝ていた。」
「ママとねんね。なかないでママ。」
悠陽は一粒涙を落として不安そうに見つめる向日葵の頭を優しく撫でて大丈夫だよと言う様に笑いかけた。
「悠陽。あの日・・・いや何でもない。担当医を呼ぶから詳しい話は悠陽の身体を診てもらってからにする。向日葵も居るから・・・。」
悠陽があの日の出来事を覚えているか聞きたかったが悍ましい記憶を呼び起こす事は避けたかった。
それにまだ小さな向日葵が側にいる。
あの日の出来事を向日葵には聞かせたくないと思った桜夜は担当医を呼ぶ事にした。
向日葵が悠陽に宿った出来事を向日葵にだけは知られたくない。
嬉しそうに笑う向日葵を見つめながら桜夜は胸が締め付けられた。
担当医は間も無くして病室に息を切らせながらやって来た。
「すみません。かなり驚いてしまいました。」
「向日葵、ママを先生に診てもらうからパパとこっちに座って待ってような。」
向日葵は悠陽にギュッと抱きついて嫌がっているのかと思ったがパッと腕を離してコクコクと頷きベッドへよじ登る時に使った椅子からベッドを降りてトコトコと桜夜の方に歩いて行った。
悠陽の身体には以上が無いと言われて桜夜はホッと胸を撫で下ろした。
そして悠陽が目覚めてから1週間後に悠陽は退院して来た。
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