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第6話
「…っん…え、あれ…?」
「あーオハヨー、高橋」
目を開くとゆづの家の天井が見える。
もう何度泊まったか分からない。
最初の頃は四人でお泊まり会したのになぁ。
いつからか、それも無くなって僕が誰かの家に行くだけになってしまった。
「颯おはよう。ゆづは?」
「ゆづなら朝ごはん作っとる!」
朝から風呂に入ったのか、上半身裸の颯は少し雫の垂れる細い髪をガシガシとバスタオルで拭いている。
「…あれ…僕…飛んじゃった?」
まだボンヤリとする。
体を起こして周りを見回すけれど、あんなに激しかったはずの名残が何も無い。
体は綺麗にされ、周りも乱れている気配が一切無くなっていた。
「ゆづはほら、綺麗好きやからね。昨日の夜ぜーんぶあいつが綺麗にした!」
「ああ、そっか」
颯も充分整理整頓が得意だけれど、自分の家だからルールでもあるのかゆづは家の片付けは食器ですらやらせてくれない。だから昨夜の後処理もゆづがやったんだろうな。
颯がTシャツをかぶろうとした時、寝室のドアがノックされた。
「朝飯できたぞー」
「はーい、今行くわー。あ、高橋もこれ着ときー」
「おー」
颯はゆづのパーカーを手渡すと、部屋を出ていった。
なんだろう。
大事なことを忘れている気がする。
ああ、頭が痛い。
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