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第3話
「………か、……さん」
霞んでよく見えないけれど、小田くんの声がする。
「大丈夫?」
何度か瞬きを繰り返すと、視界がクリアになってきて彼の暖かな掌が僕の頭をゆっくり撫でてくれていた。
「おかえり……」
喉がカラカラで、自分でもビックリするほどの掠れた声しか出ない。
「遅くなってごめんなさい」
ソファーの前にしゃがんで申し訳なさそうに僕の指を握ってくれた彼は、いつもならパーマを当てた髪がふわふわにセットしてあるのに、なんだか寝癖みたいに乱れていた。
「今、何時…?」
「9時です」
確かにカーテンを閉めていない窓の外は暗い。
「……小田くんにしたらいつもより早いじゃん」
「でももっと早く帰りたかったんですっ!」
大きめの瞳がパチパチ瞬きをして、とても1つ年下とは思えないくらい若い。それでいて世間一般に言われる、所謂イケメンでエリートというやつなのだから世の中不公平だ。
「ねえ香山さん」
「……なに」
「1人でしてた……?」
「……してたよ」
「俺が帰って来るまで、我慢出来なかったの……?」
コソコソ耳元で囁かれて擽ったい。
「我慢してたよ、家までは」
「当たり前でしょ!また外で誰彼構わず逆レイプでもしてたら俺、」
「してないよ!逆レイプなんて!!」
うん、なら良かった、と笑う小田くんは爽やかで、イケメンで、優しいけれど、たまに少しだけ怖い。
「ね、小田くん……しないの?」
上目遣いに彼を見上げて誘う。
「僕、もう限界なんだけどなあ」
小田くんの香りは芳醇で、誰よりも興奮する。
「そういうところ、です」
「何が?」
小田くんが眉を潜めてジャケットを脱ぐ。ネクタイを緩める。この動きが堪らなく好きだ。
「そういう誘うような真似するから心配になるんでしょ」
「だって今、小田くんを誘ってるもん」
「ああ言えばこう言う」
「ふふ」
文句とか小言とか、年下の癖に、と思うのだけれど、結局僕は小田くんが好きで、彼に構って貰うのが好きで、心配させるのが好きなのだ。
「ベッドに行きましょ」
軽々抱き上げられて、小田くんの首に掴まる。こういうときしか甘えられない性格なのだから、いっぱい甘えておく。甘やかしてもらう。
大きめのベッドに仰向けになって、両足を開脚した。
「あのね、小田くん……僕、ここしか触ってないの、偉い?」
もう既に膨らんだ性器がパンツを押し上げていて、見せつけるようにゆっくり上から擦ってみせる。
小田くんの掌が、僕の擦り上げる掌に重なる。
「ごほうび、何にします?」
数回一緒に擦られただけで、もうイっちゃいそう。自分でやるのと全然違う。
彼に見られながらシャツのボタンを丁寧に上から外されて、僕は期待と興奮でまた下半身がじん、と痺れるのを感じた。
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