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すでに寛げられたバスローブからむき出しになっている貧相な腹をリヒャルトの指先が撫ぜると、くすぐったいようなむず痒いような不思議な感覚にマシューは身をよじった。 そのほんの少しの刺激でもぞわぞわと身体中を緩い快感が走っていく。覆いかぶさるリヒャルトの肩を縋るように掴むと、思っていたよりもしっかりしていて、それにまた胸が高鳴った。 「マシュー、嫌だったり痛かったりしたら我慢せず言うんだよ。」 マシューはそれに小さな頷きと下手くそな微笑みを返した。 戸惑いはあれど、恐怖はない。ましてや嫌悪などあるはずもない。マシューの身体に受け入れるための機能はないから痛みはあるかもしれないが、余程の激痛でなければ耐えてでも受け入れたいと、そう思っていた。 リヒャルトの熱い舌先が首筋を這う。ほとんど脱げていたバスローブがすとんと落とされる。優しく腰を撫でられる。もう一方の手が小さな胸の突起を掠めた時、マシューは遂に声を漏らした。 「んッ…!」 女でもΩでもないマシューの、いわば飾りに過ぎないそれ。リヒャルトがそっと触れただけで電気が走ったような衝撃がマシューを襲う。優しくじっくりとそこを刺激され、返って物足りないような気がしてくるくらいに。 もっと、強い刺激が欲しい。 そう思ったマシューを知ってか知らずか、リヒャルトはマシューの窮屈そうに張り詰めた下着をするりと撫でた。 「ひあッ!あっ…」 びくんと大きく跳ねた身体が、快感の強さを物語っている。それどころか、もっと触って欲しくて、直接触って欲しくて、マシューは思わずリヒャルトに強請るような視線を投げた。くすりと小さく笑ったリヒャルトは、マシューの目尻に浮かんだ涙を唇で掬い上げ、ぴくぴくと震える大きな耳の付け根をやわやわと撫でた。 「あッ!や、そこダメです…!」 きっとリヒャルトは無意識に、それこそ小動物を愛でるのと同じ感覚でそこに触れたのだろう。ビクッと大きく反応したマシューに一瞬美しい瞳をまあるくしたリヒャルトは、流石の洞察力で全てを悟ったようですぐに笑顔になった。 「ここ、いいんだ。」 「だ、め…ッてばぁ…!やぁ…!」 「…じゃあ、ここは?」 「ひ、やあぁッ…!」 窮屈な下着から覗く小さな丸い尻尾の付け根をツーっとなぞられると、目の前がスパークする。打ち上げられた魚のようにビクビクと跳ねたマシューに、リヒャルトは笑みを深くした。 獣と人の境目であるそこは、皮膚の継ぎ目で最も無防備なところだ。くるくると付け根を周回する指先に翻弄され、真っ赤になって快感に耐える。張り詰めたマシューの中心は濡れそぼって下着をぐっしょり濡らしていた。 そこに、触れてほしい。 息を乱してリヒャルトに縋り付きながら、マシューは自ずとそこを押し付ける。ちょうどリヒャルトの腹のあたりに布越しに触れて、望んだ場所への刺激が堪らず、それでいて直接触れてもらえないもどかしさにマシューは知らず腰を揺らした。 「んあッあっあ…や、リヒャルトさま、…あぁッ…!」 今にも上り詰めてしまいそう。 愛も恋も知らず自分で処理することも必要最低限のマシューは、初めての愛しい人に触れられる悦びにあっという間に呑まれていく。 もう我慢ならなくて、とにかく一度出してしまおうと自分で下着を下ろそうとしたその時。 「あッ…あーッ!あ、ッ…!」 その手を退けてするりと下着の中に入り込んできたリヒャルトの手が、先端をほんの少し撫でたその刺激だけで、マシューは簡単に果てた。 ビクビクと絶頂の余韻に浸る身体は、やがて倦怠感に襲われる。それに抗わずベッドに身体を預けると、ぼんやりと靄がかかったような視界の中でも煌々と輝く紫色の瞳に囚われた。 ドキッとマシューの臆病な心臓が高鳴る。穏やかな笑顔に隠された激情が、その美しい瞳の中に確かに宿っていた。それは確かに、捕食者の瞳だった。 リヒャルトは掌で受け止めたマシューの劣情の残滓をペロリと一舐めする。そんなことしないでくださいとマシューが抗議の声を上げるよりも早く、リヒャルトはマシューのドロドロになった下着を脱がせ、未だ誰も触れたことがない秘孔に触れた。 「ッ…」 「痛かったら言ってくれ。」 「大丈夫、です…」 恐怖はない。その気持ちは変わらない。リヒャルトは自分が嫌がったらすぐにでもやめるだろうと思っていた。 マシューの白濁を纏った指先が一本侵入してくる。違和感はあれど痛みはない。中を探るように数回ゆっくりと行き来していく。リヒャルトはそれを続けながら徐にサイドテーブルの引き出しを開けてゴソゴソと中を漁り、小さな瓶を取り出した。 「リヒャルト様…それは?」 「ただの保湿オイルだよ。心配しなくていい。」 片手で器用に蓋を開けたリヒャルトは、指にそれを纏わせて再びマシューの中に入り込んだ。先ほどよりもずっとスムーズに入り込んだそれは、マシューの中にオイルを塗り込み中を確実に拡げていく。酷い異物感と圧迫感に眉根を寄せるマシューに、リヒャルトは困ったように微笑んだ。 「…すまない、大丈夫か?」 こくこくと首だけで返事をしたマシューに、リヒャルトはやはり困ったように微笑みながら額にキスをくれる。それだけでも随分と身体の力が抜けて、ふっと弛緩したその瞬間、マシューの目の前が真っ白になった。

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