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誕生日が来ましたよ!-3

「あれ?この引き出しは書類関係だ……。これは見ちゃダメな奴かな?あ、こっちは本だ。何でクローゼットの引き出しに本なんかしまってるんだ?リビングにも本棚あるのに。引き出し重くて開きづらいじゃん。……あっ!」  ひょっとしてエロ本とかここに隠してるんじゃん!?と思ったが、そこにあるのは専門書とか受験関連のデータ本ばかりで、目当ての本は見あたらなかった。  いや、どこかに何かあるはずだ。 「……コンドームとか、エロ本とか、エロビとか本当にどこにも隠してないの……?先生のこの収納だったら、ゴムだってこの部屋に置いてるだろ?」  ベッドはがばっと上に開くタイプの収納ベッドらしく、わざわざ開いてみたけどそこにはテントだとかキャンプ用の椅子だとかツーバーナーとかキャンプ用品を詰めたコンテナだとかが詰め込まれていて、ここにもエロ関係の物は何もなかった。 「……嘘だ。成人男性が全くエロ関連の物を身の回りに置いてないなんて、絶対嘘だ!」  設楽はムキになってスプリングとベッドの間とかプリンターの下とか部屋中探してみたのだが、やっぱり何も出てこない。 「じゃあ洗面所とか!?じゃなかったら意外と盲点で居間のテレビラックに普通のDVDと一緒に並べてるとか!?いや、やっぱりPCの中がエロだらけとか!??!?」  はっとしてタブレットを起動しようとしたが、パスコードがかかっていて開かなかった。 「先生!タブレット見て良い!?ロック解除してよ!」  キッチンに向かって叫ぶと、大竹が「え!?」とちょっと慌てた声で返事を寄こした。  ビンゴ!  これはタブレットの中にエロ関係入ってるな!?  バタバタと大竹がキッチンから寝室に入ってきて、設楽の手からタブレットを奪い取る。 「人のそういうモン見るなよ!」 「へ~え?見られちゃ困るようなモン入ってるの?」 「……いや、別に入ってないけど……?」  このすっとぼけた顔が絶対怪しい! 「入ってんだろ?何入ってんの?」 「入ってねぇよ!つうか、何入ってると思ってんだよ」 「エロ関係に決まってんじゃん。どんなので普段抜いてるか気になるし、何にも無いなんて不自然だもん。ゴムとか置いてないの?」  大竹の顔には「心底設楽を寝室に入れたことを後悔しています」と書いてある。仮にそういう家捜ししたとしても、普通隠さないか?それ堂々と言う? 「ねぇ先生、マジでゴムどこ置いてんの?洗面所?トイレとか?」 「……無ぇよ」 「無いの!?何で無いの!?まさか付けない派!?」  驚いたようにこちらを見る設楽に、慌てて大竹が首を振った。 「違ぇよ!使う予定もないのに買い置きしても、劣化したらやだろ!?アレ消費期限あるって知ってるよな!?使う時に買えば良いじゃん!俺その予定、今んとこ無いだろ!?」 「でもゴムって二、三年は保つじゃん!前使ったのいつよ!?残ってたりしないの!?」 「そんな消費期限ギリギリの使うかよ!女と別れたら、ゴムは捨てるぞ!?」 「今日俺とするかもしれないのに!?」 「だから、しないから!」 「ちなみに俺はいつ先生としても良いように、持ち歩いてるよ?」 「持ち歩かなくて良いから!!」  大竹の真っ赤な顔を見て、それなら浮気はしてないな?とちょっとにんまりする。それから「じゃあ、俺もちゃんと古いのは捨てて、新しいの買って持ち歩くね?」と付け足してみる。 「いや!だから、後一年はしないんだから、今買って持ち歩くな!」 「分かんないじゃん!弾みでするかもしれないじゃん!」 「しないから!も、料理途中だから、俺戻るからな!?お前ももうこっち来いよ!」 「じゃあビデオラックのチェックしよ。エロビないの?」  当たり前のように言いながらひょこひょこついてくる設楽に、大竹は頭を抱えた。 「も~!何なんだよ!そんなに俺のエロネタ探してぇのかよ!言っとくけど、ここんとこずっと、二次元のズリネタ使ってないから!」 「じゃあ何で抜いてんだよ!」 「何でってそりゃ……」  大竹は何か言いかけて、それからはっと口を噤んで、「何だって良いだろ!」と怒って行ってしまった。  え?何?あ、まさか、俺とか!?今の先生のズリネタ、俺とか!??!? 「マジで!?ね、先生、あのタブレットの中、俺の写真とか動画とか入ってるの!?」  嬉しくて後ろを付いていきながらワクワクして尋ねると、思いっきり頭にゲンコツがめり込んだ。プリプリしながらカウンターの中に戻っていく大竹に、「マジで!?」と答えも聞いてないのに設楽はニヤニヤが止まらなくなった。   ◇◇◇ ◇◇◇

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