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 夢のような週末が終わり、再び新しい週が始まった。月曜日の朝。 「おはよう、潤」  夢と現の意識の間を彷徨う潤を導くように香ってくる颯真のフェロモンに、潤は鼻をひくつかせた。 「起きられる? 時間なくなっちゃうよ」  わかっているけど、あともう五分……。  そう寝返りを打つと、かけ布団を颯真がくいっと退けた様子で、少しひんやりした空気に顔が触れた。 「ほら起きて」  ぴちぴちと頬を軽く叩かれて、肩をトントンされて潤はようやく目を開く。 「……ん……むぅ」  まだ夢とうつつの間にある意識を無理矢理戻される。ワイシャツ姿の颯真が目の前にいる。 「いきなり起こされて機嫌悪いな」  と言いつつ苦笑を浮かべている。 「昨日疲れた様子だったけど、平気?」  そう言われて、潤はわずか躊躇ってから小さく頷いた。 「ん……」  すると鋭く異変を察知したのか、颯真が覗き込んでくる。 「体調悪い?」  すかさずに手が伸びてくる。額に触ろうとしているのがわかったが、潤は間一髪で布団で庇ってそれを遮る。  それがますます異変ととらえられて、颯真が覆い被さってくる。 「おい、潤」  あの手この手で布団を退けようとするが、潤はそれをかたく閉じて防戦を敷く。  すると、敵は思わぬ方向からやってきた。  颯真が横からいきなり中に手を入れたのだ。 「わあ!」  驚いた潤が布団から顔を出すと、颯真がすかさず額に手を当てる。 「もう、手を掛けさせないでくれよー」  朝からモグラごっこは勘弁してほしいと颯真がぼやく。そんなの、頼んでないんだけどな。   「熱はなさそうだけど……」  颯真の言葉に潤は頷いた。平気、と短く答える。  しかし、それで颯真は納得しない。潤の顔を覗き込んで、驚くことを聞いてきた。 「で、お尻の奥は? 大丈夫なの?」 「なっ……」  言葉を失う潤に、颯真は少し見せて、と言う。色気ゼロの口調なので、診察、という意味なのだろう。 「なんでー」  潤がそうごねると、だって少しヒリヒリするっていってたじゃん、と至極真っ当な返事。  潤は平気だよーと再び布団を頭から被った。  この身体に残る疲れは、ここしばらく連日颯真を求めてしまっているのが原因であると潤にはわかっていた。  発情期ではないため、颯真も身体を気遣い、十分拡げてから入ってくるのだが、いかんせん潤がそれを待ちきれない部分もあって、盛り上がって泣いてせがんて、ぐっと入り込まれて……、ということもあった。さすがに流血をみることはなかったが、欲を満たすために身体に負担をかけている自覚はあった。  颯真もそれを気にしていて、少し違和感があると話したら、帰宅して診てから薬を塗ろうと言ってくれていたのだが、昨夜は帰宅して、そのまま風呂に入ったあとに、疲れから寝落ちしてしまったのだった。    そして、寝起きの不機嫌に加え、案の定放置した場所に違和感。 「うー」  潤が思わず唸る。  颯真がほら、薬塗ってから抑制剤打つから、と潤を追い立てる。それでも潤が動かずにいると、再び、布団に手を入れてきた。  両腕が入り、ぐっとパジャマのズボンのウエスト部分を掴まれる。 「わぁ!」  颯真に無理矢理スボンを脱がされる。ぐずぐずしていると下着まで脱がす。俺に脱がされたくなければちゃんと自分で支度して、と言われ、潤はその勢いに押されて下着をもそもそと脱いだ。  颯真に布団のなかでいいから、膝を立てて、足を開いてと言われる。颯真にこのように診られることは少なくはないが、毎回毎回緊張するし、寝起きで触られると特に刺激が強い。  はやく終わってほしいと思いながら、その体勢を取ると、颯真に頬を触られた。 「大丈夫。痛いことはしないから、すぐ終わるよ。ほら深呼吸して」  とやさしく言われて、潤は大きく息を吸って吐いて、呼吸と気持ちを整える。 「少し違和感あるからね」  そう言われて布団を剥がされる。  少しひんやりとした空気に下半身が当たった。  いつも思うのだけど、こういう時どこに視線を持ってけばいいのか分からない。彷徨わせて、ふと下半身に視線を流してみると、颯真の姿が、自分の開いた両脚の合間から見えて、少しどきりとした。  少し触るね、と言われて、潤は無言で頷く。  その場所に指が触れたのがわかった。 「少し赤くなってるね。やっぱり少し無理をさせたな。腫れが引く薬を塗っておこうかな」  颯真がそう言って、クローゼットから畳んだバスタオルを取り出し、潤の腰の下に挟む。腰が少し浮いた感じがした。  そして、颯真の指がその場所に触れられた感じがして、続いて少し開かれるような感触。 「深呼吸して。大きく息を吸って」  顔を上げてそう言われ、潤もそれに倣う。すると颯真の指が潤の中に入った。  薬を塗っているのだろう。颯真の指が中をくるりと回って行ったり来たりしている感じ。  二人で愛し合っている時とは違うドキドキ感で、潤が息を詰めると、すぐさま颯真にバレてしまい、ちゃんと呼吸して、と言われてしまう。 「リラックスしてないと痛みを感じるよ」  怖いことを言われ、潤が懸命に呼吸をしている間に、颯真は内側と外側に薬を塗ってくれた。  現金なもので、少しヒリヒリした感じが緩和したような気がする。 「ありがと」  潤がそう言う。 「どういたしまして」  ラテックスグローブを外した颯真が、不意にそのまま露になっていた潤の中心部に手を伸ばしてきた。 「あっ……」  いきなりフロント部分を触られて、潤が驚く。  いやではないけど、やはりそれなりに驚くし、刺激がある。 「触っていい?」  先ほどとは打って変わったような目つきの颯真に潤は、無言で頷いた。 「ふふ。俺が薬を塗ってる間、お前の中がキュンキュン喜んでたぞ」  そう的確に表現されて、思わず口を噤んだ。締め付けていた自覚があるのだから仕方がない。  本当は、まだまだ足らなくて颯真がほしいと思っている。でも薬を塗ったばかりだから、きっと颯真はしてくれないのだろう……。  だから、この場所を颯真が触ってくれるのは嬉しい。刺激は強いけど。  さっきまで兄でドクターの顔をしていたのに、気づけば今は魅惑的な瞳を浮かべたアルファの顔になっている。  そんな顔をされては、オメガの自分は拒絶なんてできない、と潤は思う。番と定めたアルファが敏感でデリケートなその場所を愛してくれるというのだから。  潤が思わず腰を揺らすと、颯真が「もっと触ってほしいの?」と再度問いかけてくる。  仕草で察してほしいのに、言葉にしないとだめなのか、と思い、小さい声で潤がほしい……と強請ると、颯真はそのまま身を伸ばして潤の上にのしかかり、唇を奪った。 「そろそろ準備しないといけないから、少しだけな」  颯真に目の前でそう言われて、潤はうんうんと頷いた。口付けをして、舌を絡ませ合い、愛を交わしていると、元気に勃ち上がり敏感になっている潤の可愛らしい屹立を、再び颯真が握った。 「……んっ」  刺激に腰が揺れる。颯真の指が潤の先ばしりの滑りを借りて、するすると硬く芯を持ったそれをしごきあげてくる。  本音は後ろも触ってほしいけど、薬を塗ったばかりなので我慢だ。 「ぁぁん……」  潤は声を漏らし、思わず腰が揺れる、  颯真が、可愛いよ、と刺激と与えるその先端に唇を寄せてキスをする。 「ああっ!」  そのまま口に含まれて、熱い粘膜に包まれ、一気に追い上げられる。  仕上げとばかりに、その先端を優しくかまれて舌でえぐられた。 「あっ……!」  そうま、と呼び、喘ぐ声をあげて、潤は颯真の口の中で達した。  息が整わない潤に、颯真が額にキスをする。 「朝から可愛い姿を見せてくれてありがとな」  そう言って、首筋に跡が残るキスを落としたのだった。

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