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OC! 筧 義松③ | 吉田 美野の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
OC!
筧 義松③
作者:
吉田 美野
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筧 義松③
義松
(
よしまつ
)
のペニスを握るアオイの手が、ゆったりと上下に動き出した。 剥けかけ皮の上から竿全体を
摩
(
さす
)
るように、優しく優しく。指先でとろとろの鈴口を弄ることも怠らない。先走りの液体がくちくちと水音を立てる。 義松は恥ずかしくて悲しくて泣きたくて、今すぐここから逃げ出したいほど傷ついたはずなのに、体はとても素直だった。アオイに与えられる快楽に「はぁ……っ」と熱っぽい吐息を漏らす。 「感じてるね。気持ちいい? ……ねえ、体勢キツくない? 横になって良いよ」 ベッドサイドに腰掛けたままだった義松を促し、ベッドに横にさせると続いてアオイもその隣に寝そべった。義松の腕の中に潜り込んでくると、アオイに腕枕をしてやっているような格好になる。 至近距離でアオイと目が合い、ぎくりとする。 慌てて目を逸らすと、耳元でくすっと笑われた。 「いっぱい気持ちよくしてあげるから」 そしてショートパンツから伸びる長くしなやかな脚を、義松の脚に絡ませた。 再びアオイの手によって、慎ましやかなペニスは扱かれ始めると義松は「うっ」と呻き声を上げるより仕方なかった。 無意識のうちに腰がゆらゆらと揺れて――。 「あっ、もう、ダメかも……っ、出るっ」 「えっ?」 ――ピュッ、ピュピュッ。 勢いよく義松の欲望が飛び出して、自身の胸にまで飛んだ。 「え、はやっ……」 義松の早漏っぷりはアオイにも予想外だったらしく、切れ長の目を丸くしている。 次の瞬間、アオイはプッとふきだした。 そして今度はけらけらと声を上げて笑い出す。 義松は再び深く傷付きつつも「すみません……」と謝ってその大きな体を縮こませる。 暫くアオイの笑いは収まらず、胸に自身の精液を散らしたまま、義松が居た堪れなさ過ぎてモジモジし始めた頃だ。笑い過ぎたアオイが息を切らしながら言った。 「あんた! 面白いな!」 先程までと比べ、随分と砕けた口調だ。 まだ義松の腕の中にいるアオイは、やや上目遣いになって、その切れ長の目に涙を浮かべている。 ……笑い過ぎだろ。 その色気に息を呑みそうになったことには気づかないふりをして、ただただ馬鹿にされているらしいことに、義松は憮然とした表情を作ってみせる。 しかしアオイは少しも気にしちゃいないようだ。 「あんたさぁ」と、砕けたというよりは最早馴れ馴れしい。無礼だとすら感じる口調で、やはり無礼なことを口にする。 「そんなナリしてんのに粗チンで、早漏って! 目もあてらんないね」 そして義松の腕から抜け出し、体を起こしサイドテーブルに手を伸ばした。 慣れた手つきでティッシュを取ると、義松の精子で汚れてしまった自身の手を拭った。 サイドテーブルにはティッシュの他に、ウエットティッシュ、それから義松には不要だったローションのボトルが置いてある。 「あんた、その見た目だろ? 体格もよくてイケメンで。その体に見合った立派なモノ、期待しちゃうよね~」 それなのに包茎、短小の粗チンな上に、早漏とは……と嘆く口調が腹立たしい……を通り越して悲しくなってくる。 アオイは自身の手を拭ったティッシュを丸めゴミ箱に放った。新しいティッシュを取ると、次は射精後更に慎ましやかなサイズになってしまった精子まみれの義松のペニスを拭き始める。 「自分で拭きます」 と義松はアオイの手からティッシュを奪った。 くたんと小さくなったペニスの鈴口から、とろんとろんと尿道に残っていた精子が零れてくる。居た堪れなさを誤魔化すように、ぐいぐいとやや乱暴にティッシュを押し付けそれを拭った。 ――何やってんだか、俺。 先輩の言う通り、たしかにキャストのレベルは高い。 男の手に扱かれたとは思えないほど気持ちよかったし興奮もした。 先輩の言うような
癒
(
・
)
し
(
・
)
なんてどこにもない。むしろ古傷を抉られただけな気がする。 「ゲイじゃないのにこの店に来たってことは、あんたなんかトラウマでもあんの?」 ギクリとして手が止まった義松に、今度はウエットティッシュを渡し、かわりに使用済みティッシュを無言で奪っていった。当たり前だが手馴れている。 亀頭に張り付いてしまったティッシュのかけらを、ウエットティッシュでこすり落としながら義松は白状した。 「そうですよ……」 「へー、何があったの?」 「社会人になって、先輩に連れられて行ったんです。ここみたいな店舗型の風俗で……」 「うんうん」 アオイは完全に面白がっているようだった。 素直に話すのは癪だが、ここまできたら聞いて欲しい気もする。 「店を出た後、傘を忘れたことに気付いて戻りました。その時……ついでに、お手洗いも借りたんです。ちょうどお手洗いの前が女の子の控室だったみたいで……カーテン越しに、その……女の子達の話が丸聞こえで……」 「ふーん。まあ、客の悪口とかな。そんで、あんたの話してたんだ。何言われたの?」 ま、おおよその想像はつくけど、とアオイはニヤリと笑った。 だったら聞くなと思いつつ、その想像は大体当たっているんだろうなとも思う。 「仮性包茎マジ引くとか、粗チンすぎてウケる、とか……見かけ倒しって……」 もう何年も前のことだというのに、あのとき聞こえてきた品のないゲラゲラ笑いを今も忘れられない。 「ははーあ。まあ、なるほどね~」 アオイはなるほど、なるほど、と呟いてにやにやしている。あまり期待はしていなかったけれど、慰めの言葉一つもない。 「それ以来風俗は行ってません……」 「ほ~。あ、ねえ、まさか童貞じゃないよね?」 「ちっ……、ち、違いますけど……彼女にやっぱりあからさまにガッカリされて……」 「あ~ららら。それで、それっきり?」 「……そうですけど」 「いやぁ、せっかくの高身長のイケメンなのにもったいないなぁと思ってさ」 そしてアオイはカラカラ笑った。 「だからそんなに突っかかんなよ」 と、使用済みウエットティッシュを義松の手から奪ってゴミ箱に放ると、やや下がり気味の肩をばしんと叩いた。 「そんで? そこからキミはすっかり女性がトラウマってことかな?」 「トラウマってほどでは……ただあまり積極的に女性とそういう……深い関係にはなりたいと思わないだけで……」 「それ十分トラウマだからね。ふ~ん、それで男相手の扉を開こうとしてるわけね?」 「べっ、別にそういうわけじゃ……! ただ女の子は裏で何言ってるか分からないから怖くて……それで先輩が、同じ男ならその手の問題のデリケートさを分かってくれるだろうって……」 言われたのだが、このアオイにそんな気遣いは得られなさそうだ。 案の定「あーワリッ。俺の息子は立派だから、その手の悩み、分かってあげらんないの」とケラケラ笑った。 この男。
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吉田 美野
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