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筧 義松Ⅲ③
「アオイさん……こっちも触ってください。いっぱい、触って……」
性急な動きでズボンの前を寛げると、すでに勃起した義松 のペニスが現れた。
つるりとした亀頭が、半分被ったままの皮からちょこんと顔を出している。
義松はアオイの手を誘 い、自身の控えめサイズのペニスを直 に握らせた。
「いいよ。いっぱい触ってあげる。いっぱい、いじめてあげるから……」
アオイはくすりと笑って、だから早く脱げと言わんばかりに、跨っていた腰を浮かせる。
その隙に義松は素早くズボンと下着を脱ぎ捨て裸になり、ベッドに仰向けになった。そしてアオイの腰をぐいと引いて強請った。
「ねえ……アオイさんお尻こっち向けて」
「いいよ」
てっきり文句を言われるかと思ったが、アオイは素直に体の向きを変え、義松の顔に尻を向けた。
ミニスカートに包まれた形のいい丸い尻。そこから伸びるアオイの美脚。
パンツは見えそうで見えない。
思わず生唾を飲む。
「ローション使うよ?」
尻に見惚れていて反応が遅れた。
疑問形にもかかわらず、義松の返事を待たずしてアオイはローションのボトルを手にした。ぷちゅっ、ぷちゅっとボトルからローションを絞り出す音とともに、ペニスにとろりと液体が垂らされる。冷たさにびくりと震えたのは一瞬だ。チュクチュクと音を立てて扱かれはじめると、ローションはアオイの掌やペニスの熱にすぐ馴染んだ。
はあ、と籠った熱を逃がすような吐息の後、義松は目の前の尻に思わず手を伸ばした。ミニスカートの上からさわさわと撫でたが、アオイは何も言わなかった。
すごい、アオイさんのお尻、柔らかい……。
しばらく夢中になって尻を撫で回していると、アオイがくつくつと喉の奥で笑う。
「筧クン、撫ですぎ。尻フェチだっけ?」
「そういうわけじゃない……と思うんですけど。尻フェチっていうか……アオイさんフェチ、かな……?」
「なんだそれ」
アオイが声を上げて笑う。
アオイが笑うと嬉しい。義松は頬を緩ませた。
挑発的で扇情的な色っぽい笑みも、ちょっと悪そうなニヤリ笑いもいいが、今みたいに楽し気に声を上げて笑う様子も素敵だ。
そんなことを考えていたら、アオイが半分被ったままの皮をぐいぐいと強引に剥きはじめた。そして露出した敏感な先っぽを、ぐちゅぐちゅと重点的に弄 りはじめる。完全に油断していた義松は「ひゃうっ!?」と素っ頓狂な声を上げた。
「ひゃ、あっあっあ……アオイさん、そんな……そんな先っぽばっかり触ったらっ、あっ、あ、だめっ……アッ!」
あっという間に達してしまった。
尻越しに振り返ったアオイは「相変わらず安定の早漏だな」とからかいまじりにふふんと笑う。
「いいんで、す……っ。アオイさんが、早漏でもいいって……言ったんだから」
はあはあと息を切らしながら答えた義松に、ふうん? とアオイは小首を傾げてみせる。
あ、その表情 可愛い……。
しかし愛くるしいアオイの表情を堪能する余裕はすぐになくなった。
アオイはこちらに尻を向け、チュクチュクと音を立てて掌の動きを再開させた。達したばかりのペニスに更に刺激を与えられ、義松は仰け反って喘ぐ。義松のペニスを立て続けに可愛がるつもりらしい。
「あっあっ、だめ、だめですアオイさん、そんな……今イったばっかりで……あっ、やだなんかくすぐった……ムズムズするからぁ……っ、あン!」
泣き言混じりに喘ぐ義松に、アオイがふふんと笑う。
過ぎる刺激に翻弄された義松は、再びアオイの尻に手を伸ばした。ムズムズと痒いような、くすぐったいような刺激はだんだんとただの快感に変わり、義松は小さく腰を揺すりながら目の前の尻を揉みしだく。
丸い尻が義松の手によって形が変わる。
興奮のしすぎで理性がぶっ飛びそうだ。
義松は性急にミニスカートの裾をたくし上げた。無地のグレーのボクサーパンツが現れる。何の変哲もない、普通のボクサーパンツだ。しかし薄いなめらかな生地の上から尻の丸みに触れると、先ほどよりもしっかりと尻の柔らかさを感じることができた。
「あっあっ、あ……アオイさんのお尻、柔らかい……あっ、気持ちいい……っ」
アオイが何も言わないのをいいことに、義松はダイレクトに尻に触れようとパンツの裾から掌を差し込もうとした。
「おい」
尻を撫で回しても揉みしだいても、何も言わなかったアオイが、さすがに抗議の声を上げる。
「お願い、お尻だけ……他は絶対触らないから」
「……本当だな?」
「誓って!」
「もし変な動きしてみろ、違約金取るからな」
逆を言えば、お金を払えば触らせてくれるということだろうか。
本音を言えば、アオイの体に隅々まで触れたい。
それが許されるならば、義松はいくらだって……は、少し言い過ぎた。が、多少ふっかけられても、きっと払うに違いない。
そんな本音が喉まで出かかったが、アオイを怒らせるのは本意ではない。
「もちろんです」
アオイはもう何も言わなかった。
義松は許可が出たと判断し、中途半端に潜り込んでいた下着の下に掌を差し込み、アオイの尻に触れる。
あ、すごい……お尻、柔らかい。
直に触れるアオイの尻は、下着越しに揉むよりももっとずっと柔らかくて、しっとりとすべすべしていた。夢中で生尻の感触を楽しんでいた義松だが、気づいてしまった。
アオイも勃起していた。
先端から溢 れる蜜で、グレーのボクサーパンツに、染みができている。
すごい……。
義松のペニスを扱きながら興奮しているのか。
義松に尻を揉まれて興奮しているのか。
どちらにせよ嬉しいことに変わりない。その膨らみに頬ずりしたい。鼻先を埋めて匂いを嗅ぎたい。その布の中はどうなっているのか。確かめて、味わいたい――。
「んんっ……あ、イく、出る……!」
アオイの下着のナカを想像した瞬間、義松の興奮は最高潮に達し、本日二度目の射精をした。
ガクガクと腰を揺らし、すべての精子を出し切ると、義松は深く溜息をついてさっきまでアオイの生尻を揉んでいた掌で顔を覆う。
「賢者タイム?」
手についた精子とローションをティッシュで拭き拭き、義松の上から降りながらアオイが笑った。
「うーん……ある意味そうかも、です」
義松は顔を覆ったままで苦笑いを返す。
正直、自分の変態具合に愕然としている。
今更、この件についてあがくつもりはないけれど、アオイのことを〝そういう目〟で見ているのだなあと改めて実感する。
くるくる変わる、小悪魔的な表情や態度。
翻弄されて、すでにメロメロになっている自覚はもちろんあったけれど、アオイの下着のナカには、自分と同じ(……か、それ以上の立派なモノ)がついているはずなのだ。それを想像しただけで興奮してイってしまうとは。
……末期だな。
再び大きな溜息をついた義松にアオイが不服そうな、心配そうな顔で「なに? ヨくなかった?」と唇を尖らせていた。
てきぱきとローションと精子をティッシュで拭き取り、今度は尻ではなく不服そうな顔をこちらに向けて跨る。
「いえ、めちゃくちゃヨかったです……」
「じゃあなんでそんな溜息ばっかりついてんの?」
「それは……」
目の前に迫ったアオイの端正な顔。拗ねたように尖らせた唇。
可愛い、可愛い、キスしたい……。
義松は欲求をグッと堪え、アオイをぎゅっと抱きしめるに留めた。
「アオイさんにハマりすぎて……頭がどうかなりそうなんですよ」
「なんだ、そんなこと?」
「……そんなことじゃないですよ。アオイさんが好きすぎて、おかしくなります」
「安心しろよ、俺の客は全員そうだ」
……この男。
そうだ、今日はやけに可愛らしいから忘れていたが、本来アオイはこんなやつだ。
自信家で不遜で、そして、それがひどく魅力的でもある。
「あんたはとっくに頭おかしくなってるよ。俺のこと好き過ぎて。そうじゃなかったら、俺の尻揉みながら勃起なんかしないだろ」
その通りだ。
とっくにおかしくなっているのだ。
そうでなければ、この柔らかそうな唇にかぶりついて咥内を舐め回したいなんて思わないだろうし、パンツのナカにも興味はないはず。
でも義松は目の前の唇にかぶりつきたくて堪らないし、パンツのナカにも興味津々だ。
どこもかしこも舐め回し、全身義松の跡を残すように吸い付いて、一緒に溶け合いたい。
……そんなことを考えていたら、あっという間に勃起した。
二度も達したばかりだというのに、盛りのついた中学生のペニスだってもう少しお利口だろう。
アオイはすぐに義松の変化に気づいた。
にっこり微笑みかけられ、義松はぎくりとする。
「な、あんた俺に逮捕されたいんだっけ、変態さん?」
シャツの前をはだけさせ、ぷっくりいやらしく尖った乳首を晒した変態ミニスカポリスは、飾りベルトにぶら下がっていたおもちゃの手錠を取り上げた。
「これ、どこを逮捕しちゃうと思う?」
手首を拘束するには小さすぎる。
単純にただの飾りだと思っていたが、どうやら違うらしい。
目の前にかざされた小さな手錠。義松は目を凝らすと、二つの輪っかのうち片側が金属ではなくシリコン素材でできていることに気がついた。
「まさか……と思いますけど」
「多分そのまさかだと思う」
満面の笑みが、怖い。
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