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このままがいい

嫌がる和希を無視し、一緒にお風呂に入った後、 抱き枕のように和希を後ろから抱き締めながら壮史はベッドに寝転がった。 和希の項に頭を擦りつけるように甘えている。 疲れ果てた身体に壮史の体温が心地良く、和希はすぐに瞼が重くなるのを感じていた。 遠くで壮史の声がする。 なんて言ってる? 遠くて、声が小さすぎて聞こえない。 ちゃんと聞きたいのに。 もしかしたら、俺の欲しい言葉かもしれないのに。 目を開けたら口の開け方でわかるかもしれない。 目を開けなければ。 壮史のところに、 近くに行きたいのに。 そう思うのに身体はぴくりとも動かないし、瞼もやっぱり開かなかった。 「ずっと、このまま…」 霧雨の中で聞くような、余計なノイズが入ったラジオのような、 もどかしい気持ちで壮史の声を聞いた。 夢なのか現実なのか、それすらわからない。 でももう和希の瞼はどうやっても開かず、意識がそのまま深い深い場所にゆっくりと落ちていった…

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