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天気雨

「勘弁してくれよ…」 盛大なため息とともにそう吐き捨てるように言った壮史に、 何事かと尋ねようとしたが、壮史はそのまま玄関に向かった。 和希が顔だけを出して玄関の方を覗くと。 「かずちゃーーーん」 元気な声と同時に麻衣が和希に飛び付いてきた。 「え!?麻衣さん!?」 「会いたかったー!」 和希の髪をわしゃわしゃと撫でながら麻衣は嬉しそうに笑みを零す。 麻衣は風呂場や、トイレ、台所を覗きながら、 綺麗にしてるのねーえらいえらい、とニコニコしながら寝室のドアに手をかけたところで、 ドアを押さえつける壮史の無言の抵抗にあい、麻衣はドアから手を離した。 そして、リビングのラグの上に正座をすると、三つ指をつき、綺麗なお辞儀をして言った。 「しばらくお世話になります」 「…………………は?」 思わず壮史を振り仰ぐと、 壮史はまた盛大なため息をついた。

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