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天気雨

「で?何があったんだよ!?」 麻衣が風呂に入ったところを見計らって、和希が小声で壮史に詰め寄る。 「あー、なんか父さんが浮気してるって。」 「崇さんが!?」 「まぁ母さんの早とちりか勘違いだと思うけど、家にいたくないって」 そうだ、絶対に勘違いだ! あの崇さんが浮気なんて! 麻衣さんをとても大事にしてる崇さんがそんなことする訳ない。 和希はうんうんと大きく頷きながら1人で納得していた。 「一応聞くんだけどさ」 壮史の疲れた声に、和希が何?と呑気に返す。 「お前、この状況わかってる?母さんがいるんだぞ?」 「ん?うん、わかってるけど」 「…いや、わかってない。」 壮史はわざとらしく長い長いため息をはぁーと吐くと言った。 「朝から晩まで、一日中母さんがいる。その意味がわかる?」 「あ!」 「ようやくわかったか?」 「麻衣さん、どこで寝てもらう!?予備の布団どこにしまってたっけ!」 焦ってわたわたとする和希の腕を掴むと、壮史はやけにはっきりとした口調で和希に言う。 「俺ら2人の時間は全くなくなるって意味、本当にわかってるか?」 壮史の目の奥がゆらりと揺れたように見えた。 そこで和希は漸く壮史の言いたいことがわかった気がし、途端に身体全体が赤くなったような気がした。 「ば、ばかっ、何言ってんだよ、そんなの」 「俺にとったらそんなの、じゃない。キスも満足にできないとか生殺しだろ」 壮史の声が一気に甘くなる。 和希の腕を掴んでいた手が和希の首すじにするりと伸ばされ、親指で顎を下から押された。 壮史を見上げる角度に上げられた顎を親指が固定している。 「や、やめろよ。今は」 和希の焦る声に、壮史がニヤリと笑い、 その笑みを見た和希は思わずぞわっと何かが背中を駆け上がるのを感じていた…

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