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天気雨
チュと音を立てた軽いキスが和希の唇に落とされる。
和希がギロッと壮史を睨んで見せるが、壮史は和希の両手を背中に回させると片手で纏めたままにした。
「壮、これ何すんの…」
「禁欲なるかもしれないから、和希の充電」
そう言うと壮史は口を開けながら和希の唇を塞いだ。
ペロリと唇を舐めるとすぐに熱い舌が滑り込んでくる。
こんな早急な壮史はいつぶりだろうか。
和希は壮史の絡まる舌に必死で応えながらぼんやりした頭で思い返していた。
中学生の頃から2人とも程よくモテた。
中学を卒業する当たりからぐんと背が伸び、男らしくなった壮史は高校に入ると告白の連続だった。
和希もまた何人かから告白され、何人かと付き合ってはみたものの、深い関係になることはなくあっさりと別れるというのを繰り返していた。
壮史は何度告白されても誰かと付き合うことはなく、それをからかったりしていた。
ある日いつものように壮史の家に行き、当然いるだろう壮史の部屋に向かった。
が、壮史の部屋の手前で和希の脚が止まる。
呼吸までも止まっていたかもしれない。
壮史の部屋から、
明らかに行為中の女性の喘ぎ声が聞こえてきたのだ。
最初はそういう動画を見ているのかとも思った。
だけど、女性の声と同時に壮史の荒い息使いやベッドの軋みがそれが現実だと教えていた。
普段絶対に聞くことのない、幼馴染の甘く掠れた声。
性的に興奮している呼吸。
それが何故、
俺ではない誰かと、
俺ではない誰かに向けられて、
存分に与えられているのか。
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