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天気雨
和希が目を開けると部屋はまだ薄暗かった。
隣に壮史の姿はない。
寝室を出てリビングに行くとベランダにいる壮史が気付いて振り返る。
「身体とか、拭いてくれたの、ありがと」
うっすらと赤くなってお礼を言う和希を素直にかわいいと思う。
またむらっと湧き上がった欲を押さえ込みながら、壮史は和希の身体を引き寄せ抱きしめた。
長い間そうして抱き合ったままで2人がいると、薄暗かった空が段々とオレンジに染まってきた。
「…夜明けだな」
「綺麗だな」
空の半分ほどがオレンジに染まってきたところで突然雨が降り出した。
雨が朝日に照らされてあちこちがキラキラと光を反射させている。
2人顔を見合わせるとふっと笑い、軽いキスをして、
まるで泣き笑っているかのような空をずっと見ていた…
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