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梅干しのヤキモチ
身体が熱い。
喉もカラカラだ。
水が欲しい。
手を伸ばすと誰かに手を掴まれる。
柔らかい物が唇に触れたと思ったら水が口に流れ込んできた。
こくこくと飲み干し、まだ欲しいと首を撫でている手を掴んだ。
何度かそうやって水を欲し、口に残ったのを飲み込むと、今度は舌が入ってくる。
やっぱり壮史か。
こんなことをするのは壮史しかいないよな。
安心してしまうと代わりに身体が別の物を欲しがり始めた。
チロチロと遠慮がちに動く舌に甘えるように自分の舌を絡ませながら、壮史の首に両手を回して抱きつく。
「んん、もっと…」
キスの合間に和希が強請る。
服の裾から滑り込んできた手が身体に触れると、和希の全身に鳥肌が立ち慌てて目を開けた。
見たことのない天井に軽くパニックを起こしていると、視界に涼二が入ってきた。
「涼、さん?」
「和希ちゃん潰れちゃったんだよ、覚えてない?」
「あ…ごめんなさい、俺」
身体を起こそうとする和希を涼二は強い力で止めた。
「涼さん?」
なんだろう、ものすごく嫌な予感がする。
いや、予感じゃない。
さっき壮史だと思って交わしたキスは…
「和希ちゃんけっこうエロいね。ちょっとだけからかって味見させてもらおうかと思ってたんだけど…本気で欲しくなった」
笑っていない涼二を見るのはこれが初めてだった。
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