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梅干しのヤキモチ

ヤバイ。 まずい。 それははっきりとわかるのに、 どうやったらこの危機を免れるかがまるでわからない。 涼二は和希の腕を頭の上に上げるとそこで纏めて押さえ込んだ。 そうして和希のパーカーを捲り上げ、手のひらを身体に滑らせる。 気持ち悪さに鳥肌が収まらない。 全身が痙攣するように震えていた。 怖い。 怖い、怖い怖い。 …壮史。 身体を弄られながら和希は声も上げず泣いていた。 泣いていることにも気付かなかったが、流れた涙が耳を掠り漸く気が付き、身体を激しく捩った時、店の裏口のドアが激しく音を立てた。 怒鳴り合うような声が聞こえてくる。 足音も荒く、さらなる悪い予感に強い吐き気が胃から上がってくるのを感じたのと同時に更衣室のドアが蹴破られる勢いで開けられた。 そこには2人の男の姿があった。 「そ、うしぃ」 しゃくりあげるほど泣いてしまいながら、それを隠そうともせず和希が漸く声を上げた。 壮史は和希の上に乗っていた涼二を引き摺り降ろすとそのままの勢いで殴りかかった。 よろよろと倒れかけた涼二を原田が背負い投げで追い打ちをかけた。 「相澤、ここいいから戸川連れて帰って」 原田に言われ、壮史は頷くと和希を横抱きに抱き上げた。 出て行く和希に原田は小さくごめんなと告げた。

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