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梅干しのヤキモチ

「もっとちゃんと話しとけばよかった、俺が悪い、和希ごめんな」 ぎゅっと強く抱きしめてきた壮史に和希は首を傾げた。 少し身体を離しお互いの額をくっつける。 「あいつ、和希を狙ってたから。 俺それわかってたのに…」 壮史は自分を責めている。 痛いほどそれが伝わってきて、和希はまた泣きそうになった。 震えの収まった手を壮史の頬に伸ばし、和希から壮史に軽いキスをした。 「壮史が謝るなよ、全然気付かなかった俺が悪い。何も考えずに酒まで飲んで…」 そう、本当に何も考えてなかった。 壮史以外の、それも男が自分に触れたいと思うことなどあり得ないと思い込んでいた。 とてつもなく不本意ではあるが、自分がそういう対象に見られることもあるんだと理解するには充分な出来事だった。 「漸くわかった?」 壮史の声にいつもの温度が戻る。 「いい加減自覚してくれよ、お前自分に向けられる愛情に疎すぎなんだよ」 望まない愛情を押しつけられることもあるだろ、と壮史が諭すように言った。 望む愛情にも疎いけどな、となんともいえない表情をして付け加える。 誰のことを言っているのか。 今回の涼二だけではなかったと言うことなのか。 でも1番近くにいる壮史がそういうのだ、 これからはもっと注意しなくては。 わかった!と頷く和希に、壮史は呆れたため息を返す。 「お前、絶対わかってない…」 呆れた様子を隠すことなく壮史は言った。 チュと軽いキスを和希の額に落とすと、風呂入れてくると言って立ち上がった。

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