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素直なあまのじゃく
「ねぇ戸川くん、相澤くん大丈夫かな?」
隣に座っていた子が和希の腕を引っ張りながらそう言ってきたのは、合コンが始まって一時間くらいしてからだろうか。
緊張と居心地の悪さにいささか飲みすぎてしまった和希はいい意味で緊張も解け、話しかけてきた子と当たり障りのない会話をしていた。
ほらーとまた腕を引っ張られ、腕に柔らかい感触が触れる。
胸が当たってるよ、なんて言えない。
こんな柔らかくて気持ちいいものが自分にあったら、そりゃ武器として存分に使うよな、
俺でも使うと思うわ。
和希はそう思って、酔ってんなと思わず笑ってしまう。
隣の子の視線の先には両側から腕をとられた壮史が腕を払うようにしていた。
トイレなのか立ち上がった壮史がちらりと和希を見たのに気付く。
和希もトイレに立ち、本当に用を足してから壮史を鏡越しに見た。
「だいぶ押されてんな」
「ま、あれくらいなら。酒も入ってるし普通だろ」
上機嫌の壮史に和希はイラッとする。
こんなに上機嫌な壮史は珍しい。
やっぱり壮史は女のほうがいいんだろうか。
柔らかくて甘い匂いの女の身体のほうがいいんだろうか。
和希は酒を煽ることで暗い考えを吹き飛ばしていた。
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