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素直なあまのじゃく
見ないようにしようとすればするほど、壮史や壮史にベタベタ触る女を見てしまう。
壮史の腕に胸を押し付け、
長い髪の匂いを振り撒き、
壮史の耳元に口を寄せる。
もう限界だった。
ガタン!と大きな音を立て椅子から立ち上がった和希は、若干ふらつく脚でずかずかと壮史のところに向かう。
壮史の胸ぐらを掴んで引っ張り立たせると、ベタベタ触っていた女の耳元まで屈んで囁いた。
「これ、俺のだから返してもらうね」
何事かとざわつくみんなを背に壮史の腕を掴んだまま渡邉に帰ると言い、そのまま店を出た。
店から出てしばらくふらふらと駅に向かって歩いているとちょうど通りかかったタクシーを捕まえた。
壮史を押し込み部屋までの住所を告げると、和希はそれからは一切しゃべらなかった。
部屋に入るとすぐに台所に入り水を飲んだ。
が、イライラは収まらない。
リビングに向かうといつもと同じソファに座る壮史がいて、さらにイラつく。
あんなにベタベタ触られたくせに、なんでそんなに普通でいられるんだ。
俺はお前だけの物なのに、お前は違うのか…
男を相手にするのにもう飽きてしまったのか…
どんどんと悪い考えが浮かんできた和希はそれにすら苛つき、ソファに壮史を押し倒した。
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