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誕生日のユウウツ

「あぃってぇ…」 二日酔いだ。 どれだけ飲んだか覚えてない。 よくちゃんと帰れたものだ。 「何、二日酔い?」 机に突っ伏していた顔を上げると武市だった。 「あー、うん」 武市は隣に腰を降ろしながら薬は?と聞いた。 「朝バタバタだったから飲めてない」 「あいつこれから来るからウコン頼んどくか」 あぁ、渡邉のことか。 携帯を操作し終えると武市が和希の方に向き直る。 「昨日グランドホテルにいなかった?」 ギクリと身体が揺れた。 俺のバイト先なんだよ、と武市は笑った。 「スーツ着てたから違うかなとも思ったんだけど、戸川みたいなやつ、あんまりいないから」 「…俺みたいなやつ?って?」 怒るなよ?と武市は断ってから小声で言った。 「ネコを隠してない、ように見える」 そしてイケメン、と武市は付け加えた。 「ネコ…?」 「男同士でする時、挿れられる方のこと」 「え………」 和希はしばらく二日酔いを忘れるほど驚いていた。

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