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誕生日のユウウツ

「戸川、しょっちゅうキスマークや歯型ついてるし。 そうかなぁと思ってたけど、気軽に聞けることじゃないし」 回りにはそんなバレてないと思うよ、と武市は慌てて付け加えたが、 和希は顔を真っ赤にしながら武市から背けた。 壮史ぃーーー!! 「ゲイなの?」 武市の抑えた声に和希は頭をがしがしと掻いた。 「いや、わかんない。女とも付き合ったことあるけど、最後まではしてないから」 「そっか、…相澤と?」 さっきよりもっと抑えた武市の声に和希はうんともううんとも答えなかった。 「ごめん、踏み込みすぎたな」 ううんと首を振る。 「俺、ゲイなんだよ。高校の時から馬鹿なあいつに惚れてんの」 ほらと言われて武市の視線を追うと、渡邉がでかい声でおーい!とウコンを振りながらやってきていた。 「あいつ、完全ノーマルだからいい加減諦めなきゃと思うんだけど…簡単じゃないな」 うんと和希が頷くと武市が立ち上がった。 と、身を屈めて和希に囁いた。 「俺タチ…あ、挿れるほうだから彼氏と別れたら声かけて」 「わ!別れねーよ!」 あははと笑っている武市に渡邉がウコンを放り投げ、はいと俺に渡してくれた。

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