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誕生日のユウウツ

もらったウコンを飲んで二日酔いは少し良くなったが、どうにもだるい。 和希は一旦部屋に戻って仮眠をとることにした。 夕方には相澤家に向かわなきゃいけない。 鍵を開けて中に入ると、玄関に壮史のスニーカーと、女物の靴。 あの時みたいだ。 ドクンドクンとやけに大きく聞こえてくる動悸に胸を押さえ、リビングに向かう。 女の泣き声が聞こえる。 リビングへのドアを開けると、泣いている女の肩を抱いた壮史がいた。 壮史と目が合う。 和希はすぐに身体の向きを変えた。 「ごめん、俺…」 「和希」 「ゆ、夕方には戻るから!あ、直接相澤家行くわ!」 近くにきていた壮史にぐっと強く腕を掴まれた。 「落ち着け」 壮史の低い声に身体がびくりと揺れた。 はーと深い息を吐くと、壮史は呆れたように言った。 「この子は皇の彼女だ」 「……………………………………は?」

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