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誕生日のユウウツ
照れくさそうに頭を掻く壮史を和希は呆然と見つめた。
「…和希?聞こえてた?」
そう聞かれて、かろうじてうんと頷く。
箱から指輪を取り出した壮史が和希の左手を持ち上げる。
その壮史の左手にも光る物があった。
「ベタすぎて引くなよ」
壮史が赤くなった。
ゆっくりと自分の指にはめられる指輪。
壮史がふっと笑った。
「無表情で泣くなよ、バカ」
そう言ってふわりと抱きしめてくれる。
「壮史、俺の物になってくれんの?」
「もうとっくにそうだったけどな」
「俺とずっと一緒に居てくれるの?」
「お前が離れて行っても連れ戻す」
「俺のこと…ちゃんと好きなの?」
「……………愛してる。
はぁー照れるわ、ダメだこれ耐えられない!
もう二度と言わねーから!
忘れるなよ!」
壮史は和希の肩に顔を埋めるようにして赤くなった顔を隠す。
和希は漸く壮史の背中に腕を回し壮史の身体を抱きしめた。
壮史が和希の首にチュとキスをすると身体を離す。
「言葉にするのは苦手だけど、
その分行動で伝えるから俺。
愛を」
いつもの壮史に戻ってニヤリと笑う壮史を見て和希も笑った。
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