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誕生日のユウウツ

憂鬱ではなくなった誕生日を数日過ぎたころ、 父親から電話がかかってきた。 父親は反対はしないよと言った。 大歓迎って訳でもないけどね、と付け加えて。 「…ありがとう父さん」 和希は素直にそう言った。 「和希、好きなように生きなさい。一度の人生だ、後悔しないように生きなさい。 お前が自分らしく生きるためなら協力は惜しまないつもりだ。 だから…何か困ったことがあったら連絡してくれ」 和希はうんと微笑みながら言った。 来年の誕生日は違う気持ちで迎えられそうだ。 和希は晴れ晴れとした顔で笑った。

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