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贅沢なスレ違い

帰ってから原田家の状態を話し、手伝いに行きたいと和希が言うと、すんなりと賛成してくれた壮史。 あ、と思いだしたように和希の方に向き直る。 「俺、これからバイトが忙しくなるんだ、水曜日も無理かも…ごめん」 壮史は出版社でバイトをしている。 これまでも時々忙しくなって心配していたことがあった。 「…大丈夫なのか」 「大学の方が落ち着いてるからなんとかなるだろ」 和希の頭を撫でてから壮史は和希を抱きしめた。 「しばらくすれ違いかもな」 「…うん」 「…充電しとく?」 一瞬で熱が入った声で問われ、和希は小さくこくんと頷いた。 「んっ、……あ、壮…」 身体中を壮史の手や唇が這う。 ぴくぴくと小さく身体を震わせながら和希が甘い声を上げている。 「はー…和希すげーかわいい、エロい…」 壮史が手を伸ばし和希の手と指を絡めて握る。 2人の左手にはあの日の指輪が光る。

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