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贅沢なスレ違い
「わたなべー!洗濯今日も頑張れよ!」
「お前、戸川は和希ちゃぁんて呼ぶのに、なんで俺は呼び捨てなんだよ」
「…?わたなべだから」
首を傾げながら言う圭に思わず吹き出す。
「圭、じゃあ武市はなんて呼んでんの?」
「まさみちゃん!!」
武市が圭の頭を優しく撫でる。
なんで俺だけ!と喚いている渡邉を見ながらみんなで笑った。
家に着くと原田と渡邉はコインランドリーに走り、和希と武市はスーパーに買い出しにと別れた。
「武市…9人分のハンバーグって挽肉1キロじゃ足らないよな…」
「ああ、そうだな…」
なんでもない料理でも人数が増えるだけで重労働になる。
「3キロ買って、残りは明日ミートソースにしようか…」
いいんじゃない?と武市が言ってくれたので、挽肉を3キロ分カゴに入れた。
付け合わせは昨日のカレーの残りのじゃがいもと人参がある、
あ、ほうれん草が安い、今日味噌汁にして、明日はバター炒めにしよう。
バナナが激安!朝ごはんにもなるし、買い込んでおこう!
どれにしようと見比べていると、武市がふっと笑いを零した。
「え」
「いや、大学での戸川しか知らなかったから意外性というか、ギャップがあって」
ころころ表情が変わって、そんなに感情豊かだったんだなと言われ、和希は赤くなる顔を背けた。
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