97 / 412
贅沢なスレ違い
それからも和希は出来る限り原田家に顔を出した。
渡邉と武市も頻繁に手伝いに来ていた。
しばらくして母親が退院したが、祖母のリハビリに付き添うため、家を空けることは多かった。
朝、原田から連絡がくる。
今日は母親がいるから大丈夫とか、
今日はリハビリの日なんだとか。
母親も退院したばかりだ、無理はできないだろうと和希は厚かましくないよう気を付けながら手伝った。
壮史とは本当にすれ違いになっていた。
食事は作っておくと、美味かったよご馳走さまとトークアプリで必ずお礼を言ってくれた。
原田の家に顔を出すようになって3週間ほどがたったころ、祖母のリハビリも落ち着いてきたとのことで、原田家全員に頭を下げられた。
大変だとかしんどいとか一度も思わなかった。
和希も大家族の一員になれたようで、ただ楽しかった。
圭が泣きじゃくりながらまた来てねと言ってくれた時は和希も泣きそうになった。
清々しい気持ちで家まで歩いていると、トークアプリの通知が届く。
開くと壮史からで、そこには[しばらく帰れそうにない、ごめん]とあった…
ともだちにシェアしよう!