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犬も喰った喧嘩

考え倦ねた和希は困った時の武市くんとばかりに武市に連絡を取った。 バイトだったらしく、武市はバイト先まで来れるなら話し聞けるよと言ったので、和希はバイト先のグランドホテルまで来ていた。 ラウンジで待っているとバイトを終えた武市がやってくる。 ラウンジの隣にあるカフェに移り、飲み物を頼むと武市は恋人と何かあった?と聞いた。 彼氏ではなく恋人と言った武市に少し笑いかけ、和希はこれまでの恋人の様子を話した。 「ヤキモチしかないだろ、それ……」 「でも俺、その人以外とはそういうことしないって言ってあるし、ヤキモチとか…」 「戸川がいくらそのつもりでも、他からちょっかい出されてるのを流せる訳ないだろ」 「ちょっかいって…」 「戸川…鈍いって言われない?」 そんなに鈍いの?俺… 好意と恋愛感情と、どうやって見分けるの? それとも一緒? いや、違うよな。 考え込んだ和希を見て武市はため息をついた。 「あのさ、自分にじゃなくて、自分を相手に置き換えて考えてみたら?自分の知らないところで相手が同じ事をされてたら?」 壮史が、もし、されてたら? 「い、嫌だ!」 「じゃあ、恋人の気持ちもわかるだろ?」 うんと和希は深く頷いた。

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