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お好みのままに、は難しい

「プレゼント?」 「…はい」 「男に。それも恋人に、だろ」 「…!」 「俺ゲイだから。涼二ともそれ繋がり」 「はぁ…」 「アクセサリーがいいのか? それとお揃いの指輪してんの?」 顎髭男は和希の左手の指輪を指差しながら聞いた。 「はい」 それなら、と顎髭男はカウンターの中でゴソゴソと動き、トレイの上にアクセサリーを出して見せてくれる。 トレイの上には革製の物や金属のブレスレットが並べられていた。 「指輪、それプラチナか?なら、プラチナかシルバーのが相性いいかな。 これとこれは? 文字が彫ってあるんだけど、あ、イタリア語な。 こっちがアモーレ、愛してるだな、 で、こっちが、ペレ センプレ、永遠にって意味」 和希の手が永遠にと彫ってあるブレスレットに伸びる。 一回拗じられたデザインのシンプルなブレスレットは指輪と一緒につけても良さそうだし、 普段の壮史によく似合いそうだった。 「これ…これにします!」 和希の笑顔に顎髭男もニコッと笑った。 「はいよ、ラッピングな」 お願いしますと言った和希に男がピッと名刺を指で挟んで差し出す。 「これからもどうぞご贔屓に」 バチンとウインクしながら顎髭男は笑ってみせた。

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