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お好みのままに、は難しい

「ありがとうございました」 「今度は恋人と一緒に来てな」 がっはっはと大きな声で笑いながら西園寺は和希の頭をぐりぐりと撫でた。 「あ、の、西園寺は涼さんの恋人、ですか?」 西園寺は眉を下げた。 「あ、ごめんなさいっ」 いいやと首を振ると西園寺は長い髪をかき上げる。 「大人になるとなそれまで出来てきた簡単なことを簡単にしたくなくなるやつがいるのよ。 好きなら好き、嫌いじゃないなら好きでいいだろーってな!」 …………ん? 首を傾げた和希の頭をもう一度わしゃわしゃと撫でると西園寺はバチンとウインクしてみせた。

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