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お好みのままに、は難しい
「はぁー…………」
少し熱く感じる湯船に浸かると思わず声が出た。
さらさらとしているお湯を手で掬い肩にかける。
隣の壮史は上半身を湯から出し日本庭園を眺めていた。
濡れた髪から垂れる雫が上半身に落ちていくのを絵画を見るように見つめていた。
「俺じゃなくて庭見なくていいの?」
壮史に言われて和希は慌てて庭の方を向く。
が、壮史に後ろから抱きしめられ、庭どころではなくなってしまった。
「庭、見ろって言ったくせに…」
「あと何回でも見られるだろ」
顎を掴まれ唇を重ねられるともう壮史でいっぱいになってしまうのを和希は感じていた。
キスの先を期待している自分がいる。
でも今じゃなく、夜に思いきり愛されるほうがいいとも思う。
どちらにしても決めるのは自分ではなく壮史なのだ。
壮史に本気で触れられてしまえば自分の意識は風に飛ばされる枯れ葉のように抗えないことはもうわかっていた………
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