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お好みのままに、は難しい

露天風呂で壮史はキス以上のことはせず、ただ純粋に露天風呂を楽しんだ。 夕飯までの時間、浴衣のままで訪れることができるというので、 ホテルから出、近くの商店街でお土産を見たり、足湯を楽しんだりしてホテルに戻った。 夕飯の時間になると、ワゴンで運ばれてきた料理があっという間にテーブルに並べられ、 ごゆっくりどうぞと中居さんたちは下がっていった。 添えられたお品書きに料理の説明が細かく丁寧に記されていた。 品数の多さと旨さに2人ともが舌鼓を打ちながらなんとか食べきることができた。 部屋の外に置いてあるワゴンへと食器を戻してから、そのままロビー脇のお土産屋を覗きに行ってみる。 ロビーにはセルフサービスで飲める地酒と地ビールのサーバーがあり、 和希たちもそれぞれを交換しながら一杯ずつ頂いた。 庭がライトアップされてますからお散歩にどうぞと羽織りを渡されたので、お言葉に甘えて散歩に出掛けた。 静かだ。 普段どれほど音の溢れた中で生活をしているのかが、身にしみてわかる。 普段の生活が当たり前すぎて少々心許なく感じてしまう。 戻るかと静かに言った壮史に和希は小さく頷いた。

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