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お好みのままに、は難しい
目が覚めた時和希は壮史に後ろから抱きしめられていた。
よく眠る壮史を起こさないように腕から抜け出して露天風呂に向かう。
まだ朝早い清々しい空気の中でさらさらとする柔らかいお湯に身体を沈める。
檜の香りが湯気と一緒に立ち昇った。
湯から出ている肩に湯を掛けながら夕べ壮史が噛み付いた跡を指で触る。
よくよく見ると二の腕の内側や脇腹、腰骨、内腿にもついていた。
壮史だけのものだと言われているようなその跡を嬉しいと思っている自分がいる。
赤くなった顔を和希はお湯を掬ってばしゃばしゃと流した。
軋む腰をマッサージして露天風呂を出てみると割と長い時間入浴していたらしい。
壮史が起きていて、和希を見るとおっ!と目を見開いた。
「朝から目の保養だな」
自分も同じ格好をしているくせに、と和希は思ったが、
和希も壮史の浴衣姿を色っぽく見ていたので反論はしなかった。
壮史も露天風呂に消え、和希は浴衣から普段着に着替えた。
今日は路面電車に乗って観光をする予定にしていたので、スマホで路面電車の時刻表やら観光名所やらを見ていると。
腰にバスタオルを巻いた壮史が露天風呂から上がってきた。
壮史の上半身に数個赤い痕がついているのに気が付く。
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