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お好みのままに、は難しい

昼寝から先に目を覚ましたのは和希だった。 日本庭園がライトアップされている。 スマホで時間を確認すると、あと30分もすれば夕飯の時間だ。 自分の身体に巻き付くように回された壮史の腕から抜け出し、旅行バッグからプレゼントを取り出す。 明日旅館を出る前に渡そう。 そう決め旅行バッグにしまいかけた時、後ろから抱き締めてくる腕。 「それなに?」 欠伸をしながら壮史が言った。 「そんなお土産買ったっけ」 和希の肩に甘えるように頭を擦りつけながら壮史はまだ眠たそうな声を出す。 「た………………………………」 「……た?」 「誕生日、おめでとう…」 誤魔化せる気がしなかった…………………………

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