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大爆発の独占欲
ここ最近大学全体が落ち着かない。
不思議に思ってはいたが、深く追求しないのはそれほど興味もなかったからだ。
それがようやく今日わかった。
渡邉によって。
学食で原田と昼食をとっていると、でかい声が和希を呼んだ。
「戸川!!お前ミスコン出てくんない!?」
たっぷりと時間をかけて和希は眉を顰めて渡邉を見つめた。
「…………………はぁ!?」
ギロリと和希に睨まれた渡邉は思わず後退りする。
「隆二、いきなり本題に入るなって」
武市にそう言われた渡邉はうんと顔を赤くしながら頷く。
「俺な、コンテストの手伝いやることになってさ、出てくれるヤツ探してんの。
戸川いいとこいくんじゃないかなと思ってさ」
「ごめん、やだ」
「そう言わずにさー」
「やだって、武市が出ればいいじゃん」
「ば!正巳はダメだって!!」
思わず立ち上がりテーブルを叩いて大声で言った渡邉を和希も原田も口を開けて見上げる。
いや、あの、と急にもじもじし始める渡邉をなんとなく見ていられず和希と原田は目を逸らす。
「と、にかく、そういうの俺は無理だから悪いけど他あたって」
和希は頭をガリガリ掻きながら言った。
「あ!じゃあさ!!」
いい事思い付いた!とでも言いたげに顔を輝かせた渡邉に嫌な予感しかしない。
「相澤は!?戸川、相澤に話ししてみてくれよ!」
和希は頭を抱えてため息を付いた。
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