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大爆発の独占欲
「戸川、呼ばれてる」
珍しく学食で壮史と一緒に昼食をとっている所に渡邉がやってきて言った。
立ち上がり、渡邉に手招きされ歩きながら聞く。
「誰?」
渡邉は和希の肩を抱くと耳元に顔を寄せた。
「昨日話したろ?相澤の不機嫌その2、それが呼んでる」
「なんで俺?」
さあ?と肩を竦めて渡邉は首を傾げた。
キョロキョロしながら学食の入り口付近まで出てくると、
「戸川くん」
と呼ばれた。
けっこうな美人がいた。
「ごめん、前に会った?」
美人はううんと首を振った。
「樫木結です。
ミスコンにエントリーしてるからそれで見てるのかも」
樫木はそう言ってニッコリ笑った。
「で、何?」
「戸川くんも相澤くんも今特定の人とかいるの?」
「あ、うん、いるよ」
二人共、と和希は付け加えた。
こういう時下手に誤魔化すとややこしいことになる。
「でも、この大学の人じゃないよね?
一緒にいるとこ見たことないし」
ふふっと笑う樫木はとても綺麗だった。
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