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コタツとマスクと甘えん坊
和希が目を覚ますと寝室は間接照明だけがつけられ、暖房と加湿器の音だけが静かに低く呻って聞こえていた。
身体を起こすとさっきよりは楽に感じる。
サイドテーブルに置かれていたスポーツ飲料を一口飲むと半分以上残っていたそれを一気に全て飲みきってしまった。
「起きたか」
寝室のドアが開き壮史が顔を覗かせた。
少し顔色の戻った和希を見て安心したように笑った。
体温計を渡され測る間壮史は和希の額や首筋に手をやり、服を少し捲って腹と背中にも触れた。
ピピッと音がした体温計を壮史が脇から抜き取り、ほっと息をついた。
「37.7℃。汗かいて下がったかな」
歩けるという和希を無理矢理抱き上げ一旦リビングのソファに降ろすと壮史はシーツを変えに寝室に消える。
すぐに戻ってきた壮史はまた和希をそっと抱き上げベッドに連れて行き寝かせた。
男である自分を壊れ物のように丁寧に扱われ照れくさいような、同じくらい嬉しく感じた和希は赤くなって下を向いた。
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