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初心にかえる初詣
講義の空きに和希は図書館に足を運んでいた。
年明けしてからのテストに備えるため、調べ物がしたかった。
少しひやっとする空気や本の匂い。
何人か集まって勉強会をしている男達、
教え合いしている恋人のような男女、
一人で集中して本を読んでいる女。
人の気配はするものの、静かな雰囲気も居心地がいいため、和希は図書館に来るのが好きだった。
ぐるりと見回してから窓際の空いている席に荷物を置き、資料となる本を探す。
上を見、下を見歩いていると、どんと衝撃があり、和希は後ろに倒れそうになったが、
伸びてきた腕が和希の腕を掴み倒れることはなかった。
「す、すみません」
和希が小声で謝ると、こちらこそと低い声が和希を引っ張り戻してくれる。
顔を上げると同時に和希の足の下でパキリと乾いた音がした。
そろそろと見おろすと黒縁のメガネを踏んづけている。
慌ててメガネを拾い上げるとレンズにヒビが入っていて、フレームも歪んでしまっていた。
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