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初心にかえる初詣

嘔吐してしまうとだいぶすっきりした和希の顔を見て和田もほっと肩を撫で下ろす。 「ごめん、………ありがとう」 2人並んで手を洗いながら和希が言うと、和田は柔らかく笑って首を横に振った。 駅員室に戻ると警察官が到着しており、 痴漢したことを認めたため警察署に連行していくと説明を受けた。 警察官に連行されて行く男が和希の方に顔を向ける。 咄嗟に顔を背けようとした時、和田が和希の視界を遮るように身体を移動させた。 「後日弁護士から示談の要請があると思うよ」 和希の隣で連行されていく様子を見ていた和田がぼそりと言った。 「俺、弁護士志望」 突如きりっとした顔で言う和田に和希が思わず吹き出すと和田も同じように笑った。

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