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初心にかえる初詣

痴漢騒ぎで見知らぬ駅で降り、駅員室でのやりとりがあり、思っていたより時間がたっていた。 和田は和希に気を遣い、ここからタクシーで帰ると言った。 和希が送ると何度か言ったが和田がうんと言うことはなかった。 連絡先を交換し、降りた駅からタクシーで帰っていく和田を見送ると、和希もタクシーに乗った。 あんなことがあった上でこのラッシュの時間帯に再度電車に乗る気力は残っていなかった。 見覚えのない風景を流し見していると携帯がトークアプリの通知を告げる。 和田からだった。 [気分悪くない?] 絵文字も顔文字もないシンプルな言葉が和田らしいと思えた。 [大丈夫。和田こそ指大丈夫か?] [今見たら少し擦り剥けてた笑] 画面を見ながら和希が慌てていると、 [嘘だよ、何ともない] [そういう本当っぽい冗談やめろよ笑] [ごめん笑] 和希は携帯をしまい、座席に凭れた。 なぜだか、無償に壮史に会いたくて堪らなくなった。 早く、早く着け。 早く………! タクシーの窓の外を見ながら和希は壮史の顔を、匂いを思い出すように身体を抱きしめていた。

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