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初心にかえる初詣

痴漢事件があった翌日、和希は大学で和田に壊してしまった眼鏡の代金を封筒に入れて渡した。 が、和田は頑なに受け取らなかった。 「昨日言ったろ?俺も前見てなかったし、いいよって」 和田は昨日とは別の眼鏡をかけていて、けれどよく合っていないのかしきりにフレームを指で押し上げている。 和田の言うことはわかる。 だが、和希としても受け取ってくれないのも困る。 前を見ていなかったのはお互い様だが、実際壊してしまったのは紛れもなく自分なのだ。 和希が困った顔で黙ってしまったのを見て、和田はさらに困った顔をして言った。 「じゃあさ」 何か代わりの弁償ができるかもと和希が目を見開いて和田を見ると和田がふはっと吹き出す。 「俺のバイトの手伝いしてくれない?」 和希は頷きながらも首を傾げ、 それを離れたとこで見ていた渡邉が、戸川がかわいい!と大声で叫び、 和希に関節技を決められて藻掻く渡邉を、原田や武市と並んで和田も笑いながら眺めていた。

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