232 / 412
初心にかえる初詣
匂いを消すためにいつもより念入りに洗ってから湯船に身体を沈めた。
和希は和田のことを思い出していた。
もしかしたら……和田は自分に好意があるのかもしれない。
好きだと言われてはいないし、そういう感は鈍いとも自覚しているが、
なぜだろう和田の好意が自分に流れてくるような不思議な感覚があった。
ドアの向こうに影が見えた。
「俺も入っていい?」
すでに裸になった壮史が風呂に入ってきつつ聞くのを和希は笑って頷いた。
シャワーで身体を流した壮史は和希の後ろに入り、いつものように和希を抱き締める。
壮史の胸に身体を預けながら和希はそっと息を吐いた。
和希も和田のことは嫌いではない、むしろ好きだ。
もっと深く知りたいとも思う。
だが。
キスをしたり、身体を繋げたり、
そういう身体の繋がりを、それだけじゃなく全てを欲しいと思うのはやはり壮史だけなのだ。
ともだちにシェアしよう!