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初心にかえる初詣
「…………なぁ」
「ん?」
「初めて、した時のこと覚えてる?」
和希の腹に回された手が和希の脇腹をそっと撫で、壮史が和希の肩に唇を落とす。
「忘れる訳ないだろ。和希としたセックスはどれも全部覚えてる」
和希も同じだった。
何故かはわからない。
昔から側にいたから好きだと思っているだけなのかもしれないと思ったこともある。
ただの刷り込みのようなものかもしれない。
それでも、和希にとって唯一無二なのは壮史だけだ。
壮史に抱き締められながら和希は今の状況に胸がいっぱいになった。
壮史の存在を当たり前に思ったことはなかったが、いつの間にか当たり前に思っていたのかもしれない。
自分が好きで、それだけでよかったころに戻りたいかと聞かれれば、答えは当然否で、
触れられれば条件反射のように反応して開く身体や、
自分の生活の中にいる壮史を失うことも消すことも嫌だった。
好きだと壮史に言われてからはさらに強く自分の中にある思いを胸に閉じ込めるように、和希は回された壮史の腕ごと強く抱いた。
そして、項に柔らかく落とされ続ける壮史の唇の熱にそのまま身を任せた………
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