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初心にかえる初詣
「付け入る隙があるなら遠慮なくいくけど」
和田の言葉に和希は首を横に振った。
「コイツ以外と付き合うとか、考えたこともない」
和希は指輪を眺めながら余計な感情を乗せないように努めて平静に言った。
「和田の気持ちは…嬉しい、けど、ごめん」
和希の手首を掴んだままの和田の手にぐっと力が入った。
「抱き締めても、いい?」
和希は後ろに一歩下がり、首を横に振った。
本当は、ハグくらいならと思う自分がいる。
でもキッパリ振ってと和田は言った。
ほんの少しの期待も感じさせてはダメなんだ。
受け取れないなら、少しの思いも汲み取ろうとしてはダメなんだ。
好きになって、
好きになった人も自分を好きになってくれる。
そんな奇跡が自分には起きている。
和田も、きっとそんな奇跡に巡り会える、
だからこそ自分は期待や希望を持たせる振り方をしてはいけない。
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