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初心にかえる初詣
後始末もそこそこに眠ってしまい起きた時には深夜だった。
忘れ去られた買い物袋からそばの材料を出し年越しの準備を始めた和希のところに欠伸をしながら壮史がやってきて額にキスをした。
顔を赤くした和希に満足げな顔をして壮史は風呂場に消えた。
風呂から出た壮史と会話らしい会話もなくそばを啜り、後片付けもそこそこに2人はソファを背もたれに並んで座り、どちらからともなく指を絡めて手を繋いだ。
つけていたテレビが年明けを告げるとお互いの携帯にポツポツとトークアプリの通知が届き始めた。
それを聞きながら2人は笑い鼻を擦り合い、お互いの空いた手で髪や首を撫で合った。
そしてそのまま合わせるだけの軽いキスをしてから漸くお互いの携帯に手を伸ばし、新年の挨拶の返事を返し始めた。
届いていたメールに返事を終えた時新しいメールが届き、それは和田からだった。
[明けましておめでとう]
和希は顔を綻ばせ同じ言葉を送り返す。
[今年もよろしく]
と付け加えて。
遠くでゴーンと厳かな低い鐘の音が聞こえる。
隣でまだ携帯をいじる恋人にキスを強請って、初詣までの短い時間を控えめに甘えて過ごした。
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