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酒とスパイスのチョコレート

「俺、帰った方がいい?」 和希が咲と凛に聞くと、2人はぶんぶんと首を横に振った。 「キッチンに来ないって約束して!」 「帰っちゃダメ!」 普段ない強気な2人の物言いに押されながら和希ははいと返事をした。 2人がバタバタとキッチンに戻るのを見届けてから豪が和希の耳に顔を寄せた。 「バレンタインの練習してんだって。 戸川にもあげたいって言ってたから知らないふりしてて」 ああ、もうそんな時期か。 和希は顔を綻ばせた。 必死で練習する2人を見てみたい気もするが、物凄い勢いで追い出されそうなのでやめておいた。 キッチンに行けないとなるとやる事は洗濯か掃除になり、 豪が風呂掃除、和希がトイレ掃除をやることになった。 豪が大きな身体をあちこちぶつけつつ、何故か泡まみれになりながら掃除をするのを見て、 堪え切れずに笑ってしまいながら、和希も掃除に専念する。

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