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酒とスパイスのチョコレート
風呂掃除を終えた豪は雨に濡れた熊のようで、それを見た和希は堪え切れずにまた吹き出した。
大きな身体を震わせながら濡れた服を着替えに2階に上がって行く豪を見送ると、和希は玄関の掃除に取り掛かる。
玄関のドアを開け、家族全員分の傘が入った重い傘立てでドアを固定すると、
玄関に散らばった靴をシューズクローゼットに片付けた。
シューズクローゼットのドアに掛けてある消臭剤と箒と塵取りを取り出し、
シューズクローゼット全体に消臭剤を吹き掛けてから箒で玄関を掃いていった。
隅をちょいちょいと掃いているとにゃーんと声がし、茶色の猫が帰ってきた。
まるでただいまを言うように和希の足元に擦り寄り喉をゴロゴロと鳴らす。
原田家の三匹の猫の名前はとても覚えやすかった。
黒猫はあずき、
茶猫はささげ、
白猫はだいず。
みんな豆の名前なのは、父親が無類の豆好きだからだそう。
「おかえり、ささげ」
和希が喉を撫でてやるとささげは顔を上げ喉を伸ばし甘えた。
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