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酒とスパイスのチョコレート
家に帰る前にスーパーに寄った和希は冷蔵庫の中身を思い出しながら売り場を道なりに進んでいった。
買い足す物と特価だったささ身ともやしを入れ、レジに向かうとお菓子売り場のバレンタインコーナーで小学生くらいの女の子たちがわいわいと盛り上がっているのが見えた。
どこもかしこも猫も杓子も、か。
レジに並びながらふと、本当にふと思う。
これまでバレンタインというイベントを特に気にしたことはなかった。
壮史も自分も頂く側で、有り難いことにそこそこ頂き、それなりにお返しもしてきた。
壮史を好きだと壮史にも伝わってしまっている今年は、もしかしたら自分はあげるべきなのか………
和希は思わず首を横に振る。
いやいや、男女ならともかく、男男はそんなことしないだろう。
壮史にチョコレートを渡す自分を想像するだけで絵面が気持ち悪くて笑えてしまう。
まさか壮史も和希にもらうあげるを考えているとも思えない。
まさかな、ないよな…
和希はチョコレート売り場から意識して目をそらした……
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