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酒とスパイスのチョコレート

講義の合間に和希は携帯を取り出し、コソコソとチョコレートとググる。 そのコソコソ具合が逆に目立つと気付かないのが和希なのだ。 案の定早速見つかり声を掛けられてしまう。 「チョコレート?恋人にあげるの?」 慌てて携帯を裏返し、振り向くと武市が和希を覗き込むようにしながらニコニコと笑っていた。 「ま、まさか!」 「え、なんで?俺隆二にあげるよ」 え、と和希の動きと表情が止まる。 武市はそんな和希を見て吹き出すが咳で誤魔化し続ける。 「恋人のイベントだろ、隆二甘いの好きだしね」 ニコリと笑った武市は内心ニヤリと笑う。 きっと戸川の恋人もこういう戸川をかまいたくてからかいたくてたまらないんだろうなと思いながら。 「チョコレートに拘らなくてもいいんじゃない?俺はチョコレートとキーケースあげる予定なんだ」 和希の目と顔が一気にぱあっと輝くように明るくなったのを見て武市はまた思わず吹き出し、ゴホゴホと咳で誤魔化した。

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